目次
サイドチェーンの特徴
サイドチェーンとは、
ブロックチェーンの機能を拡張できるチェーンのことです。
サイドチェーンは、ブロックチェーンとは別のチェーンで、
ブロックチェーンの許可無く自由に設置することができます。
このサイドチェーンを使う事で、従来のビットコインのブロックチェーンではできないような機能を実装できます。
例えば、スマートコントラクト(契約)を利用できるようにしたり、
匿名性のあるものにしたり、トランザクション(取引)の認証速度を速くしたり、
必要性に応じて、使いやすいように自由に設計することができます。
上記の点から、一般的にブロックチェーンを親チェーンといい、
サイドチェーンは子チェーンといいます。
ブロックチェーンとサイドチェーンは、別々のチェーンではありますが、
お互いが紐づけられているので、ブロックチェーンの恩恵も受ける点は非常に優れた点です。
なので、ビットコインのブロックチェーンにおける高いセキュリティをサイドチェーンも共有する事が可能になります。
またサイドチェーンにはもう一つの役割があり、
サイドチェーン上で独自通貨を発行することができます。
そして、ブロックチェーン上にある通貨を
サイドチェーンに移動したり戻したりすることができます。
これを双方向ペグ(two-way pegging)と言います。
ただこれまでもこれと似たような機能は存在しており、
その代表例として、ビットコインからcounterpartyの独自通貨であるXCPに変換することはできましたが、
逆にXCPからBTCに戻すことができない一方向のものでした。
これを双方向ペグに対して、一方向性ペグ(one-way pegging)と呼んでいます。
〈ブロックチェーンについての記載はこちら〉
双方向ペグ(two-way pegging)のシステム
・ブロックチェーン→サイドチェーンに
ブロックチェーン上にあるオリジナル通貨を移すことができる。
・ブロックチェーン→サイドチェーンに移動させた場合、
移動させた通貨分だけがブロックチェーン上のオリジナル通貨がロックされて使用不可になります。
・サイドチェーン→ブロックチェーンに
ブロックチェーン上から移動させた通貨のみを移すことができる。
逆に、サイドチェーン内で発行した独自通貨はブロックチェーンへ移すことができない。
・サイドチェーン→ブロックチェーンの場合、
移動させた通貨分だけブロックチェーンのオリジナル通貨のロックが解除される。
そしてサイドチェーンの中にあったオリジナル通貨が消滅するようになっています。
サイドチェーンの問題点
マイナー(マイニングしている人達)は、
ブロックチェーンとサイドチェーンのどちらでマイニングをするか選ぶ必要があり、
その際、偏りが出た場合のセキュリティの安全性が保証されない点が懸念されています。
この問題を解決する方法として、
マージマイニング(merged mining)の導入が検討されています。
このマージマイニング(merged mining)とは、
ブロックチェーン上とサイドチェーン上で同時にマイニングできる方法です。
もう一つの懸念として、マイニングする際に、
ブロックチェーンとサイドチェーンのチェーンが存在する事で、これまで以上に電力消費が高まり、
それによりマイニングできる人達・企業が一部に絞られ、報酬がその一部の人達・企業に独占される危険性があることが欠点になります。
サイドチェーンの代表例
Liquid
Blockstream社は、2014年にサイドチェーンの技術をホワイトペーパーで公開していた会社の名前です。
この会社が、サイドチェーンの技術を実用できるレベルまで開発していきました。
そのBlockstream社は、
2015年にサイドチェーンを利用した商用アプリケーションである「Liquid」を開発しました。
このLiquidは、ビットコインを取り扱っている取引所やウォレットや決済業者の間で、
共通に管理する場所としての役割があります。この管理場所の事を「流動性プール」といいます。
ビットコインと交換できる共同ビットコインをサイドチェーン上に導入することで、
高速な取引が可能になります。
また、共同で管理を行うことから、取引所などの破綻を抑えることができます。
また、Liquidにおけるアルゴリズムは、
リップル(XRP)で用いられている特定の承認者による取引承認方法(byzantine round robin consensus protocol)に似たものを採用しています。
それを採用している理由は、PoW(Proof of Work)などの膨大な計算を必要とし、
取引速度の遅延につながるアルゴリズムは望ましくないという考えからです。
それにともない、Liquidは即時送金が可能になっています。
またLiquidでは、「機密トランザクション」という取引を隠すシステムが導入されています。
このシステムによって、匿名性をも高くなっています。
ちなみに、ライトニングネットワークの「Lightning」という技術も開発したのがBlockstream社であり、
その「Lightning」もサイドチェーンになります。
Rootstock
「Rootstock」とは、ブロックチェーンに、
スマートコントラクトを導入するためのサイドチェーンのことです。
ビットコインのセキュリティにおける安全性をそのまま維持しながら、
サイドチェーン上で複雑なスマートコントラクトを導入することができます。
このことからも、ビットコインの良い点とイーサリアムの良い点を合わせたシステムになっています。
またRootstockでは、ブロックチェーン上とサイドチェーン上で、
同時にマイニングできるマージマイニング(merged mining)が採用されているため、高い安全性が保たれています。
また、サイドチェーンのトランザクション処理速度を10秒にすることで、
送金速度が上がり、スケーラビリティ問題の解決につながっています。
サイドチェーンのまとめ(長所・短所)
長所
- 手数料が安くなる。
- トランザクションの処理速度が高まる。
- ブロックチェーンに新しい機能を追加できる。
- 独自通貨を発行できる。
- ブロックチェーンの高いセキュリティの共有ができる。
- ブロックチェーン・サイドチェーン間の通貨移動が可能になる(双方向ペグ)。
短所
- マイニングに偏りがあった場合にセキュリティの安全性が保証されない。
- マイニングできる企業が絞られ、少数の者による独占される恐れがある。