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コインチェックのネム流出事件で問題になったダークウェブ
2018年1月26日26日午前0時02分に、
日本の仮想通貨取引所であるコインチェックから、約580億円分のNEM(ネム)が盗まれた事件が起きました。
この事件をきっかけにダークウェブサイトが世界中に注目を浴びました。
その後、盗まれたNEM(ネム)の売却に利用されたのが、
匿名性が高いインターネットの「ダークウェブ」というサイバー空間です。
この「ダークウェブ」では、違法取引が当たり前のようにされており、
サイバー犯罪などを語る上で、ダークウェブは決して切り離して考える事のできない問題になっています。
しかも違法取引の売買には、
匿名で利用できる仮想通貨(暗号通貨)と非常に相性がよく、仮想通貨が使われていることが大半です。
ダークウェブとは?
ダークウェブとは、
通常の方法では見る事のできないサイバー空間のことをいいます。
そして、そこに存在するサイトは、
私たちが普段使うグーグル(Google)ような検索エンジンでは見つけることができません。
ですが、「Tor(The Onion Router)」といったブラウザをダウンロードすることで、誰でも見ることができます。
Tor(The Onion Router)は、名前からも分かるように、
ネット上のデータを玉ねぎの皮のように何重にも暗号化しているので、非常に高い匿名性があります。
ダークウェブに存在するサイトでは、
麻薬、パスポート、銀行番号、クレジットカード番号の売買などの闇取引が平気で行われています。
ダークウェブのインターネット上での立ち位置
インターネット上のウェブサイトは、大きく3つに分ける事ができます。
サーフィス・ウェブ | グーグル(Google)等の通常の検索エンジンで検索できる領域 |
ディープ・ウェブ | グーグル(Google)等の通常の検索エンジンでは検索できない領域 |
ダーク・ウェブ | ディープウェブの一部で、違法売買が多く行われている非常に危険な領域 |
氷山で例えると以下のようなイメージです。
ダークウェブが生まれた経緯
「そもそもなぜダークウェブが生まれたか」の経緯を見ていくには、
ダークウェブにアクセスできる特定プラウザである「Tor(The Onion Router)」についてみていく必要があります。
その「Tor」の背景には、
「Onion Routing(オニオン・ルーティング)」という技術があります。
この技術は、1995年にアメリカで、
黙秘性が高い情報をやり取りする目的で開発されました。
現在非常に多くの闇売買が多く行われているダークウェブも、
元を辿ればアメリカが開発したものがきっかけになっていると言えます。
この「Onion Routing」の仕組みは、
沢山のパソコンなどを経由して接続することで、ユーザーの匿名性を守る仕組みになっています。
その後、この技術は「The Onion Routing」となり、
非営利団体のプロジェクトとして引き継がれ、現在のTorになっています。
このTorは、使い方を誤らなければ、非常に社会に役立つ技術であるが、
ただ匿名性が高い技術であるがゆえに、そのTorを悪用したハッカー(クラッカー)も増えているのが現状です。
「Tor」が一般的に広まった理由
Torは、先程も述べたように、
黙秘性が高い情報をやり取りする目的でアメリカが開発しました。
これが一般人の手に渡ると、
犯罪に利用する人達が現れるのは予想できていた事ですが、
アメリカはそれを分かった上で、Torを誰もが使うことができるように公開したのです。
意味が分からないと思われる方もいると思いますが、
そこにはきちんとした理由があります。
Torを使っていれば、利用者の身元が特定される可能性は非常に小さいものですが、
Torを使っているという事実は相手に分かるようになっています。
これが意味するのは、アメリカ政府の人間だけがTorを使ってアクセスしていると、
全て政府関係者のアクセスだと簡単にばれてしまうからです。
それでは、匿名性を追求している事にはならず、
完全に匿名性を追求するには、誰もがTorを使える状態にする必要があり、
その結果、アメリカ政府はTorを一般的に公開する事にいたったのです。
ただ一つ誤解してはいけないのは、
Torを利用して、ダークウェブのサイトを見ている人は全体のほんの一部です。
その数は、Tor利用者の約5%程度だと言われています。
ほとんどの利用者は、匿名性を保つだけに利用しているにすぎません。
誤った使い方による悪いイメージが先行していますが、
良い使い方をすれば、個人のプライバシーを保護した優れたものであるという事を勘違いしてはいけないと思います。
ダークウェブに関する今後の課題
ダークウェブでの問題は、
現状いたちごっこの状態で、一つ解決しては新たな犯罪が横行している状態です。
ダークウェブの監視をこれまで以上に強化し、世界規模で立ち向かっていかなければ、
ダークウェブ上で繰り広げられる違法取引、ハッカー(クラッカー)達のサイバー犯罪を解決していくことは、非常に難しいと思います。
今後、世界中が協力しながら、新たな対策が期待したいと思う。